
あらすじ
タクシー運転手である夫 一郎を、ツチノコに殺されるというあり得ない体験をした園子。夫の死を認められないまま、空虚で自暴自棄な日常を送り始めた園子は、わけも分らぬまま売春スナックで働くことになってしまう。
しかし、そこにやって来る奇妙な客たち、次々と起こるおかしな出来事に出会ううちに次第に夫の死を認め始め、夫が殺された山へもう一度向かう事にする――。
感想とか
R18ピンク映画をR15レーティングの、審査に通るよう再編集した映画。なので、エロシーンとか裸とかが多めの映画となっています。
基本は愛する夫を失った主人公が、夫の死を認め次の1歩を踏み出すまでを描いた映画。ただ映画前半には主人公が発作的に夫を殺害、ツチノコ云々は主人公の現実逃避の産物なのではという疑念が拭えないまま展開して行くのですが、徐々にその辺はどうでも良いと思わせる展開になっていて、主人公がどういう落とし所を見つけそこへどう着地するのかに観ていて気分が移って行きました。
ただ、この映画本筋とは別の色々な要素を内包しています。存在しているのに存在を認められない人達・出来事。その逆に存在してないのに存在しているかのように扱われる昨今の世相とか。償えない罪を背負った者はどうあるべきなのか?とか。忘れる許すという事が出来ないのは不幸な事なのでは?とか、色々な側面を見せてくれます。
低予算なのでアレな面(鯉とか一部演技とか)があったりしますが、その辺は観る側でうまく変換して観るかスルーという事で。(して、良いのか?)
全然期待してなくて、タイトルのインパクトだけで観た本作ですが、意外や意外ちゃんとした話になっていて、予想外に楽しめました。エロシーンとかあって誰にでも勧められる良作というわけではありませんが、その辺抵抗の無い人なら観てみても良いかもしれません。

本作のタイトルにもなっているツチノコ。
昔の映画だったら、確実にヒモとか糸が見えてる所ですが、昨今は消せるので見えません。
ただし、動きが確実に引いてる動きです。

映画開始30秒で、タイトル通りにツチノコに殺される夫 一郎。

出勤して来ない一郎を心配して、家にやって来た同僚の人ですが、園子はパンの耳食ってるだけだったりします。同僚の人が来る前も、全裸でパンの耳食ってるだけ。

前世の記憶を全て持っている男 よしお。(と、犬)
家に泊めてくれた園子に恩義を感じて、女装して売春を始めるも最初に付いた客が、実は犬に転生した際に殺された保健所の職員だったりと、50年前に人として死んで以後転生してもずっと不幸で、何十年かぶりに人間に転生できても不幸という救われない人。
消息を絶った園子を探すうちに、親切なタクシーに拾われ――。

河にいる鯉にパンの耳を分けてあげる園子。
「鯉のぼりじゃねぇーか!」とか言わないように。

売春スナックの同僚の人が、実は夫殺しで指名手配中だった。

売春スナックのママ。営業中は下手な歌をずっと歌っている。
何故かED曲もこのママの下手な歌だったりします。

妄想と現実逃避の象徴とも言えるツチンコ(ツチノコのデカイ奴。ツとチの間に・を入れないように)と、バトル中の園子。

基本この映画の監督さんは、画面に人物を横一列に立たせて撮るのが好きなようです。

犬もちゃんと名前付きで、キャストクレジット。
バックに流れている、下手クソな歌が最高です。
